今回はいきなりケーススタディです。ちょっと想像してみてください。
毎月決して安くないWeb広告費を払い、SEOやSNSなど集客対策もちゃんとやっている。
数値を見てもアクセスは来ているし、サイトもじっくり読まれているはず。
それなのに、なぜか最後の問い合わせがパタリと止まってしまう……。
もし今、こんな場面に直面しているとしたら、あなたならまず何に原因があると考えるでしょうか?
広告のターゲット設定ですか?それとも、広告のクリエイティブですか?
もちろん、それらも大切です。
ですが、そこまで手を尽くしても問い合わせが増えないのだとしたら、“真犯人”は広告やホームページではなく、まったく別の場所に潜んでいるかもしれません。
さて、今回はユーザーが問い合わせ直前に離脱してしまう人間心理のメカニズムから、広告やホームページを見直すだけでは気づきにくい「最後の離脱原因」を紐解いていきます。
問い合わせ直前になるほど、人は「失敗したくない」と考え始める
問い合わせ直前に、ユーザーは「他人の口コミ」を確認する
理由はシンプルで、ユーザーが問い合わせ直前に見ているのは、自社の公式サイトではなく「他人の口コミ」だからです。どれだけ広告や公式ページで良い言葉を並べていても、購入直前で不安になった顧客は、GoogleマップやSNS、ポータルサイトなどのリアルな評判を必ず確かめに行きます。
試しに今、スマホで自社の社名や店舗名を検索してみてください。 もし検索結果やGoogleマップの目立つ場所に低評価や不誠実な書き込みが放置されていれば、顧客は一瞬で「……うーん、やっぱりやめておこうかな」と画面を閉じます。その瞬間、そこまでかけてきた広告費や集客の手間も無駄になってしまいます。
公式ページでどれだけ魅力的な言葉を読んだ後であっても、人は最後の最後に「実際に利用した人の評価」を確認したくなります。
なぜなら、問い合わせのボタンに指をかけた瞬間から、脳内の心理状態がガラリと変わるからです。
「期待」が「不安」に変わる損失回避バイアス
Web広告を見た最初の段階で、ユーザーの頭の中にあるのは「期待」です。 「このサービス、良さそうだな」「悩みを解決してくれそうだな」と、ワクワクしながらホームページの情報を読んでいます。
しかし、いざ「申し込み」や「問い合わせ」のボタンに指を近づけた瞬間、人間の脳内ではまったく別の感情が跳ね上がります。
それが、「失敗したくない」という強い不安です。
心理学では、人は「得をしたい」という気持ちよりも、「損をしたくない」「失敗したくない」という気持ちに強く動かされると考えられています。これが、心理学でいう損失回避バイアスです。
本当にこの会社を信じて大丈夫か?
契約した後に高額請求されたらどうしよう
申し込んで後悔したら嫌だな……
不安がピークに達したとき、企業が自画自賛しているホームページの情報だけでは、最後の不安を拭いきれません。
当然といえば当然なのですが、人は自分だけの判断に自信が持てなくなるほど、「実際に体験した他人の評価」を重く見るようになります。自分だけで決められないときに、他人の行動や評価を参考にするわけです。心理学ではこれを社会的証明と呼びます。(心理学って、なんでもそれっぽい名前をつけたがるんですよね。笑)
これが、ユーザーが問い合わせ直前にわざわざGoogleマップを開く本当の理由です。
なぜ、たった1件の「悪い口コミ」が強く記憶に残るのか?
「良い口コミもたくさんあるんだから、悪い口コミが1件くらいあっても相殺されるでしょ?」
そう考える方もいるかもしれません。しかし、人間の脳はそこまで公平に情報を処理してくれません。
心理学には、良い情報よりも悪い情報の方を強く受け止め、長く記憶しやすい「ネガティビティ・バイアス」という傾向があります。
たとえば、「スタッフが親切だった」「説明が丁寧だった」という高評価が10件並んでいても、その中に、
- 「問い合わせをしたのに返事が遅かった」
- 「後から想定外の料金を請求された」
という「★1」の口コミが1件混ざっているだけで、ユーザーの頭にはそちらが強く残ります。
初見のユーザーには、その書き込みが真実なのか、すでに改善されているのかを判別できません。だからこそ、たった1件の悪評がきっかけで静かに離脱していきます。
GBP(Googleビジネスプロフィール)は成約を左右する「答え合わせの画面」である
多くの経営者やマーケティング担当者が、「集客できないのは広告の出し方が悪いからだ」「ホームページのデザインが古いからだ」と悩み、高額なマーケティング施策にお金を投じ続けます。
しかし、施策の役割を正しく整理してみてください。
- Web広告・SEO: ユーザーを自社に連れてくる施策
- ホームページ: 自社の魅力を伝え、期待を高める場所
- GBP(Googleマップ): その期待が本物かを確かめる場所
広告で集め、ホームページで期待を高めた顧客が、最後にGoogleマップという「答え合わせの画面」でそっと離脱している。
Googleマップは単なる地図アプリではなく、購入や問い合わせの直前にユーザーが裏取りをする場所なのです。例えば、この画面が「★2.8」で荒れ果てていれば、手前の施策にどれだけお金をかけても成果に繋がるわけがありません。
「うちは店舗じゃないから関係ない」という危険な罠
「うちは飲食店や美容室じゃないから、マップの口コミなんて見られないよ」
もしそう思われたなら、非常に危険です。
Googleで社名やサービス名を検索すると、店舗型でなくてもGoogleビジネスプロフィールやマップ情報、地域に紐づいた口コミが目立つ位置に表示されることがあります。
BtoBや無形サービスであっても、地域に拠点を持ち、顧客から社名やサービス名を検索される企業の多くは、本人たちが意識していなくてもローカルビジネスの土俵に乗せられているのです。
事前判断が難しいサービスほど、人は他人の声を頼るものです。例えば次のような業種でも、問い合わせ直前に同じ確認行動が起きています。
学習塾・専門学校
パンフレットは魅力的に見えても、「高額な費用を払う親」(失敗したくない)と「実際に通う本人」(実際の雰囲気は?)の双方から不安が湧きます。だからこそ親子でマップの生々しい口コミを探しに行き、低評価を見つけると一発で候補から外します。
自動車販売・カーディーラー
何百万円も払うからこそ「購入後の点検や営業の対応は誠実か?」という不安が襲います。私がサポートしたある店舗でも、返信方針や口コミ導線を見直した時期以降、同じ広告費でも試乗予約の成約率に改善が見られました。マップに「対応が最悪だった」とあれば、少し遠くても「★4.2」の隣町の店舗へ流れてしまうのは当然です。
不用品回収・水回り修理
悪質業者のニュースで警戒心はピークです。広告で上位に出てきても「本当に家に呼んで大丈夫か?」とマップで裏取りをし、「高額請求された」などの低評価があれば怖くて電話できません。
地域のBtoB・採用活動
求職者も応募・面接の直前に社名をマップで検索します。「星1」だらけで社内の愚痴が放置されている会社に、誰も人生を預けようとは思わないのではないでしょうか。私だったら怖くて預けられません。
「目に見えないサービス」や「高額な買い物」ほど、人は失敗を恐れて他人の声を探します。「うちはBtoBだから」と放置している会社ほど、裏でサイレントに顧客を奪われ続けているのです。
低評価を放置している会社が陥る3つの思い込み
なぜ、多くの経営者がこのマップの評価を放置してしまうのか。そこには典型的な3つの思い込みがあります。
思い込み①:「理不尽なクレーマーだから放っておけばいい」
初見のユーザーは「どっちが正しいか」を捜査してくれません。低評価が「そこにある」という事実だけで、リスクを避けるために去っていきます。
思い込み②:「うちは紹介メインだから、ネットの評価は関係ない」
紹介された人こそ、行く前にスマホで検索して裏取りをします。紹介されたのにマップが「★2.6」だったら、紹介者の顔を立てつつ、そっと問い合わせを辞めるのが人間のリアルな心理です。
思い込み③:「書かれた悪口はどうしようもない」
放置するから悪化するのです。正しい返信の姿勢を見せ、満足してくれた「良い顧客の体験」をしっかり口コミとして残してもらう仕組みを作れば、マップ上の見え方や信頼感を立て直していくことはできます。
GBP(マップ情報)を立て直す3つの現実的ステップ
では、最後の裏取りで顧客を逃さないために、何から始めればよいのか。現場で実践すべき3つのステップをお伝えします。
まずは、投稿された低評価を感情的にならず直視してください。もし複数人から同じ不満が書かれているなら、それは口コミの問題ではなく自社の店舗運営や現場の仕組みに原因があります。根本的な改善から目を背けてはいけません。
クレーマーへの感情的な反論は絶対NGです。返信文は投稿者本人ではなく「これからその口コミを見る第三者の顧客」に向けて書きます。 「ご不快な思いをさせた点はお詫び申し上げます。当店では〇〇の改善に努めてまいります」と誠実かつ迅速な大人の対応を見せることで、低評価そのものを消すことはできなくても、「問題が起きたときにどう対応する会社なのか」をこれから口コミを見る人に伝えることができます。
サクラを使って嘘の口コミを買うのは絶対にやめてください。Googleのポリシー違反にあたり、口コミの削除だけでなく、新規口コミの受付停止やプロフィールへの警告表示など、事業者にとって致命的な制限を受ける可能性があります。 やるべきは、サービスに満足してくれた既存客や卒業生に対して、自然に体験を残してもらう導線作りです。単に「口コミを書いてください」ではなく、「今回の対応で良かった点など、一言教えていただけると励みになります!」と、具体的な感想を書きやすくする声かけや案内を現場に組み込みましょう。
まとめ|問い合わせが来ないとき、広告だけを疑ってはいけない
GBPは、マップから新しい客を集めるためだけの施策ではありません。 Web広告やホームページによってせっかく生まれた顧客の期待を、問い合わせ直前の『不安』によって失わないための重要施策です。
新規の広告費を追加してアクセルを踏み込む前に、まずは一度、スマホで自社の社名をGoogle検索してみてください。
その上で、以下の3つの質問を自問してみてほしいのです。
この記事を読んだ後に考えてみたい3つの質問
自社のGoogleマップを開いたとき、最初に出てくる口コミはどんな内容ですか?
数年前の低評価の書き込みが、返信もされず野ざらしになっていませんか?
「うちは店舗じゃないから」と、Googleビジネスプロフィールの管理を放置していませんか?
初めてあなたの会社を知った顧客の目には、いま、自社の社名や口コミがどのように映っているでしょうか?
もし一つでも耳が痛いと感じたなら、広告費を増やしたり、サイトを作り直したりする前に、まずは受け皿であるGBPの整備から始めましょう。
私たちWebminare(ウェブミナーレ)は、広告やホームページだけを単体で見るのではなく、口コミまで含めて「どこで顧客が離脱しているのか」を一緒に整理していきます。
広告費を増やしているのに問い合わせにつながらない。自社の低評価や口コミの集め方に悩んでいる。そんな場合は、新しく広告費を追加する前に、現在のGoogleマップが顧客からどう見えているかを一緒に考えてみましょう!
